基板のPCBAをElecrowに発注した話(2019)

TechElecrow, Japanese, PCBA

これまでPCBの製造をElecrowに何度か依頼してきましたが、昨年、部品実装まで含めてElecrowにFamily mruby用基板の製造を依頼してみたので、その流れを記録として残して置きたいと思います。

準備

基本的に必要な情報は、公式サイトに書かれています。

https://www.elecrow.com/pcb-assembly.html

必要な資料

テンプレートファイルを参考にしつつ、以下のような情報をメールで提供します。

1. PCB Gerber files.
family_mruby_v20.zip.zip
2. BOM of your project.
I’d like to ask you to source all parts from DigiKey.
See “BOM” sheet
3. Quantity and PCB specification.
See “PCB spec” sheet
4. Parts mapping for soldering with parts machine, or a simple mapping for hand soldering.
See “Parts mapping” sheet
5. Coordinate file for machine pick up parts.
“family_mruby-all-pos.xlsx”
6. Your specific requirements, or some tips you want to share with us to avoid mistakes.
See “Tips” sheet
7. Testing Plan.
Specific test is not required.
8. Your shipping address and shipping method you want, DHL/FedEx/OCS/registered air mail supported.
Address

1.PCB Gerber files

いつもPCB製造で送っているファイルのセットを送ります。

2.BOM

テンプレートファイルを参考に埋めていきます。
今回は部品は全てDigikeyでの調達を依頼しています。
Digikey上で在庫があることも事前に確認しています。

以下はその例です。

BOM sample
BOM sample

3.Quantity and PCB specification

PCB製造でWebUIで記入している内容をまとめます。
製造する台数の差による価格の違いを確認したかったので、Quantityには10,20,50を指定しています。

4.Parts mapping

KiCADのPcbnewのレイヤーのうち、部品のIDと配置が分かるようなレイヤーを画面キャプチャして貼り付けました。

5.Coordinate file

フォーマットがいまいちわかりませんでしたが、設計にKiCADを使用しているので、Pcbnewの.posファイルを出力したものを、xlsに直したものを送りました。

Position sample
Position sample

6.Specific requirements, tips

個別の要求や製造のアドバイスを記載します。
他の方のブログを参考にして、以下のような項目について画像つきで説明しました。

  • フラックスは洗い流すこと
  • はんだペーストを盛ってほしくない範囲の指定
  • 部品の向きの指定
    Coordinate fileで分かる範囲かと思いますが、念の為ICの向きとLEDのの向きを説明しています。

7.Testing plan

今回は動作に必要な全部品を実装するわけでないので、テストは依頼していないです。
必要な治具等の環境を提供することで、ファームウェアの書き込みや事前動作チェックなどを依頼できるようです。
依頼する場合は、より綿密な仕様の提示とコミュニケーションが必要になると思います。

8.Shipping information

送り先住所と送付手段を指定します。今回はいつも使っているOCSを指定しています。
Invoiceの書き方(内容物の名称、説明、単価)についてもここで書いた方がよさそうです。

その他、念の為回路図も添付しましたが、複雑な試験を依頼するのでなければ、なくても大丈夫なのではと思います。

やり取りの流れ

以下のような流れでした。
英語でのメールのやり取りになります。

  • 12/07(土)PM 見積もり依頼(from me)
  • 12/09(月)AM 担当者(Project manager)アサインの連絡(from Elecrow)
  • 12/09(月)PM 返答待ってますとリプライ(from me)
  • 12/09(月)PM 見積もり回答(from Elecrow)
    見積もり回答と共に代金の支払い方について連絡あり。春節まで忙しいので、早めにオーダーしてねとコメント。
  • 12/09(月)PM 数量確定、支払い完了の連絡(from me)
    メールの案内に従って、支払いをシステム上行って、その後注文番号を添えて連絡します。
  • 12/10(火)PM 支払い確認の連絡。何かUpdateあれば連絡すると返信(from Elecrow)
  • 12/10(水)AM よろしくねと返す(from me)
  • 12/24(火)PM 製造概ね完了および確認事項の連絡(from Elecrow)
    製造はほぼ終わったが、BOMに書いていたメモリのサイズが実際の部品に搭載されているサイズとあっていないが大丈夫?と質問あり。
  • 12/25(水)AM 問題なしと返答(from me)
  • 12/25(水)PM 実装後の基板の写真の確認依頼(from Elecrow)
  • 12/26(木)AM 問題なしと返答。Invoiceに関する質問に返答(from me)
  • 12/26(木)PM 発送完了の連絡(from Elecrow)
  • 12/27(金) 通関完了、佐川への引き渡し完了

例えば以下のような感じで見積り依頼のメールを送りました。

Subject:Quotation request for PCBA

Hello,

I’d like to order PCBA to your service.
Could you provide a quotation for 3 value cases?
1. 10 pcs
2. 20 pcs
3. 50 pcs

I attached necessary files.
Order_family_mruby.xlsx : detail order information
family_mruby_v20.zip : gerber file
family_mruby-all-pos.xlsx : coordinate file
family_mruby_schematics.pdf : schematics(supplement)

Thank you in advance.

Best regards,

見積もり結果

Excelで生産台数ごとの、PCB、実装、部品、テスト、送料それぞれの価格が返ってきます。
PCB製造依頼したことがあれば、実装費とテスト費以外は大体想像がつくと思います。
自分の場合は、20台製造で実装費$140程度でした。
テストは今回お願いしていないですが、頼むとどの程度掛かるのかは一度見てみたいです。(テスト内容に応じてピンキリとは思いますが)

お金の支払い方

PCBAのページでは見積もりから発注するような感じに見えますが、実際は1ドルのものをN個買うような形式で支払いをシステム上行います。
例えば見積もりトータルが150$の場合は、Qtyに150と入れてカートに入れます。
この際あわせてProject Managerの名前を入れます。
注文完了後、発行された注文番号を添えて、担当者にメールで連絡すれば依頼完了です。

納品

お願いしたものがOCSで届きました。(金額や内容に応じて後日関税や消費税の請求がOCSから来ます)
基板は一つ一つ静電袋でパックしてありました。

見たところ特に問題なく、期待通りに仕上がっていました。

Assembled board
Assembled board

受け取ってスルーホール部品を自分で実装して最終的に問題ないことを確認して完了です。

Narya board v2.0
Narya board v2.0

感想

今回は、スルーホール部品の実装を依頼せず、日本からの部品送付や、生産後の試験工程も依頼していないので、かなりスムーズに行った方ではないかと思います。
当初は年をまたぐかと思っていましたが、年内に間に合ったので、年末の冬コミでも頒布できました。
実際やってみると特に躓くこともなくスムーズに行けたので、想像していたより簡単な印象でした。
実装費もある程度分かったので、今後も10台以上細かい部品を使った基板を量産するときは使っていきたいと思います。

Elecrowで確保している部品は今回使用しませんでしたが、そちらも使用可能です。
部品リストのリンクはサイト上見つからなかった(他の方のブログに書かれているリンクも最新のものか判断つかなかった)ので、メールで確認すると、添付ファイルでリストをもらうことができました。